休廃業・解散件数に事業承継を憂う

毎年、この時期になると、東京商工リサーチと帝国データバンクから、企業の休廃業と解散の動向調査が発表されますね。

倒産数は注目されやすいけど、休廃業・解散件数はあまり話題にならないわりに重要度は高いので把握しておく必要があります。

というわけで、最新のを見てみましょ。

公表されてるサイトは以下からです。

 

休廃業・解散件数は減少傾向

東京商工リサーチでは2013年から2年連続、帝国データバンクでは2012年から3年連続で減少してますね。

詳しい件数は帝国データバンクが公表してくれてます。

2012年 2013年 2014年 2015年
休廃業・解散件数 25,840 25,301 24,106 23,914
倒産件数 11,129 10,332 9,180 8,517

比較として、同じく帝国データバンクの公表データから倒産件数も表記です。

どちらも減少傾向ですが、倒産件数の減少幅が大きいですね。

単純に、件数だけ見て分かるように、2015年の休廃業・解散件数は倒産件数の2.8倍になってます。

ちなみに、東京商工リサーチの2015年データでは、休廃業・解散件数2万6699件、倒産件数8812件で開きは3倍です。

うーん、改めてこの開きは大きいですなぁ。

新聞やテレビニュースの倒産報道の裏で、その3倍近い件数の企業が事業を終えている。

これは常に頭に入れておかねばなりません。

 

休廃業・解散の理由

東京商工リサーチも帝国データバンクも、休廃業・解散の理由に「後継者難による事業継続の断念」を挙げてますね。

その根拠となってるのが、休廃業・解散を決めた代表者の高齢化のようです。

帝国データバンクのデータでは、70歳代以上の代表者による休廃業・解散件数が全体の40.0%となっています。

以下、時系列に見てみます。

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
60歳代 38.9% 38.1% 36.5% 34.9% 34.8%
70歳代以上 33.8% 36.7% 38.2% 39.7% 40.0%

2012年までは60歳代のほうが構成比が高いのが、2013年以降は70歳代以上が高くなる。

これは、いわゆる“団塊の世代”の代表者が70歳代に流れ込んできているから。

つまりは今後も70歳代以上の代表者の構成比が高くなっていくものと思われます。

 

減少傾向にあるからこその事業承継対策

2013年から倒産件数と合わせて減少傾向にある休廃業・解散件数ではあるけれど、この原因がアベノミクスや円安によるものだとするなら、その裏にある恐怖感は拭えないかも。

ある程度、継続して利益が出る状況であれば高齢であっても経営者であり続けるのはごく自然なことです。

過去も諦めずに頑張り続けてきた高齢の経営者さんだからこそ、身体が元気な間はその強い精神で突き進むだろうし、正しい在り方です。

一方で、それこそリーマンショックのように突発的な経済状況の変化は、今のご時世では考えておくべき事項の大きな一つ。

そのための対策が、事業承継対策を同時進行するべきだと思うわけです。

企業の、そして経営者さんの体力がある時こそ、事業承継対策のチャンスなんですよね。

 

福井県はどうなってるの?

最後に、帝国データバンクの都道府県別のデータから福井県の状況を。

福井県の2015年の休廃業・解散件数は297件。

そして、休廃業・解散率は1.973%で全都道府県中の10位となっています。

・・・えっ、高いやないか!

さらにさらに、前年2014年の休廃業・解散件数は252件で、前年比はプラスの17.9%。

これは富山県の35.8%に次いで全都道府県中の2位!!

全国的には減少傾向なのに増加してるのはかなり切羽詰まってるじゃないかっ!!!

これは事業承継の対策も急務だなぁ。

昨年末には事業引継ぎセンターも設置されたけど、福井県全体で危機感持たないとですね。

 

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